01転職を決意したきっかけ
自社開発SaaS企業で10年エンジニアとして働いてきました。技術リードとしてマイクロサービス基盤の設計・運用を担当し、年収750万円まで到達していました。しかし35歳を超えて、自分の市場価値が頭打ちになる感覚がありました。プレイヤーとしてはピークに近づきつつあり、次の10年はマネジメント・経営側に軸足を移したいと考えるようになったのが転職活動を始めた最大の動機です。GitHubでのOSSコントリビューションを続け、技術ブログでも継続的にアウトプットしてきた実績を活かして、CTO・VPoE候補のポジションに挑戦したいと思いました。妻と相談して、子どもができる前のタイミングで一度勝負しておきたいという家庭事情もありました。スタートアップのCxO候補は、一度逃すと再挑戦のチャンスが少ないと聞いていたためです。技術力だけでは突破できない壁を感じていた時期に、経営視点を持つエンジニアになりたいという思いが強くなりました。
02転職活動で一番大変だったこと、どう乗り越えたか
もっとも大変だったのは、自分の市場価値を正確に把握することでした。エンジニアとしての技術力は社内では評価されていましたが、社外でCTO候補として通用するかは未知数でした。最初のスカウト面談では、技術力よりも経営視点での意思決定経験を問われ、答えに詰まる場面が何度もありました。プレイヤー時代に意識していなかった事業KPIや組織設計の経験不足を痛感しました。また、35歳以上のエンジニア転職は採用市場でシビアに見られるため、年齢相応のリーダーシップ実績を提示する必要がありました。技術力だけでは突破できない壁を感じ、面談で必ず聞かれる「組織を率いた経験」「採用に関わった経験」「事業数値に責任を持った経験」の3点について、過去のプロジェクトをすべて棚卸しして言語化し直す必要がありました。これに1か月以上を費やしました。社内では当たり前のように担っていた業務も、社外向けに翻訳すると意外と語れる材料が少ないことに気づかされました。
03書類・面接で工夫したこと、効果があったテクニック
もっとも工夫したのはFindyのGitHubスコアを最大化することでした。Findyは公開リポジトリのコミット頻度・PRレビュー数・OSS活動などを自動分析し、エンジニアスコアとして数値化します。私はもともと70台でしたが、転職活動を始めるにあたって個人OSSプロジェクトを2か月集中して育て、技術記事も10本書き直して80台前半まで引き上げました。スコアが上がるとスカウトの質と量が劇的に変わり、CTO候補・VPoE候補のスカウトが週に5件以上届くようになりました。職務経歴書も技術リードとしてのマネジメント実績を具体的な数値(チームサイズ・採用関与人数・SLOの改善幅)で記述し直しました。技術ブログのリンクや登壇資料を職務経歴書に添付したことで、面談前に企業側がプロフィールを深く読み込んできてくれ、面談の質が大きく上がりました。エンジニアの転職は職務経歴書だけで戦うものではなく、ポートフォリオ全体で勝負するものだと痛感しました。
04エージェント担当者とのやり取りで印象に残ったエピソード
Findyの担当者は30代男性で、自身もエンジニアバックグラウンドを持つ方でした。初回面談で「GitHubスコアを80台に上げるとスカウトの質が変わる」と具体的にアドバイスしてくれ、その通り実行したらスカウトの内訳が一変しました。また、企業面談前には必ず1on1で「この企業はCTO候補なら事業数値の話、テックリード候補なら技術選定の話を聞きたがる」と傾向を教えてくれ、面談準備の方向性を明確にしてくれました。最終的に内定を得たSaaSスタートアップでは、年収交渉の段階で「ストックオプションを含めた総報酬で1200万相当を狙えるはず」と具体的な交渉ラインを提示してくれ、結果として希望通りの条件で内定を得られました。エンジニア出身の担当者だからこそできる、技術的な深さと経営視点の両方を理解した支援は他社では得られないものでした。技術の話で盛り上がれる担当者がいるだけで、転職活動のストレスが大きく軽減されました。
05転職して良かったこと/後悔していること
良かったのは、念願のCTO候補ポジションに就けたこと、年収が750万から1050万(ストックオプション込み)に上がったこと、事業のコア技術選定に関与できる立場になったことです。35歳を過ぎてからのキャリアアップは難しいと思っていましたが、適切なサービスを使えば十分に可能だと実感しました。エンジニアとしての専門性を活かしたまま経営層に近づけるポジションは、自分のキャリアの最良の選択肢だったと思います。気になったのは、Findyのスカウトはほぼスタートアップ・メガベンチャー中心で、大手SIerや金融系の老舗企業の求人は他社のほうが豊富だった点です。安定志向の人には選択肢が偏ると感じるかもしれません。また、スコア競争の側面が強く、スコアを上げるためのOSS活動が本業を圧迫する時期もありました。技術力を数値で測ること自体に違和感を持つエンジニアにとっては合わない可能性があります。
06もう一度同じ転職をするか
はい
経営視点での意思決定経験を積める環境を得られ、長期的な市場価値も大幅に上がりました。35歳以降の市場価値頭打ちを突破できた感覚があり、迷わず同じ選択をします。スコア競争の側面はありますが、それを差し引いても得るもののほうがはるかに大きかったです。
07これから同じような状況で転職する人へのアドバイス
30代後半でCTO候補・VPoE候補を狙うエンジニアには、まずGitHubスコアの可視化サービスを必ず使うことをおすすめします。職務経歴書だけでは技術力は伝わりません。次に、技術リードからマネジメントへキャリアアップする際には、面談で必ず聞かれる「組織を率いた経験」「採用に関わった経験」「事業数値に責任を持った経験」の3点を、過去のプロジェクトを棚卸しして数値で語れるようにしておくことが必須です。プレイヤー時代の意識のまま面談に臨むと、技術力は評価されてもポジションが下がります。最後に、ストックオプションを含めた総報酬で交渉する視点も重要です。基本給だけで判断するとスタートアップは見劣りしますが、SOを含めると上場時に大きなリターンが得られる可能性があります。35歳以降のキャリアは長期視点で組み立てるべきです。エンジニア出身の担当者がいるサービスを選ぶことで、面談準備の質も大きく変わります。