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退職届の書き方|民法627条のタイミング・伝え方【転職ガイド】

ノウハウ 退職手続き · 公開日:2026.05.08 · 最終更新:2026.05.24 · 著者:転職ガイド編集部 · 読み終わり:約9分
退職を決めたあと、最初に立ち止まるのが「退職届の書き方」と「いつ・誰に・どう伝えるか」です。
この記事では、民法627条と就業規則の関係、伝える順序、退職届のテンプレート、引き継ぎ・有給消化・失業給付までの全体像を、編集部が一つずつ整理しました。

この記事を読み終えると、こうなります

2026年5月時点の民法627条(退職予告ルール)と就業規則の関係を理解した上で、退職届の書式・伝える順序・引き継ぎ計画・有給消化・失業給付までの全体像が頭に入ります。テンプレートとスクリプトを使って、円満退職に向けて手を動かせる状態を目指します。
  1. 1 準備期間の目安:2〜3か月を逆算スケジュールで設計
  2. 2 退職届の様式:A4 縦書き1枚のテンプレートをそのまま流用
  3. 3 法定予告期間:2週間(民法627条)と就業規則の関係を整理
  4. 4 給付制限期間:原則1か月(2025年4月〜)の最新ルールを反映
この記事は円満退職を前提にしています。法的権利(2週間で退職可)と実務マナー(1〜3か月前申し出)の両軸を押さえることで、無理のないスケジュールで次のキャリアへ進めます。

退職届と退職願の違い(法的位置付け)

「退職届」と「退職願」はよく混同されますが、法的な意味合いが異なる別の書面です。提出順序や撤回可否が変わるため、最初に整理しておきましょう。
退職願
性質 労働契約の合意解約の申し込み/会社が承諾した時点で効力発生/会社の承諾前なら撤回可
編集部メモ:上司との面談前後に意思を文書化する初期段階の書面。柔軟性が高い。
退職届
性質 労働契約解約の一方的な意思表示/会社に到達した時点で効力発生(民法627条)/原則として撤回不可
編集部メモ:退職日が確定した後の確定書面として人事に正式提出。最終局面で使う。
推奨される進め方
標準フロー 退職願(または口頭)→ 上司・人事との合意 → 退職届
編集部メモ:退職届を最初から提出すると撤回不可の意思表示になるため、合意形成のステップを飛ばさないのが円満退職のコツ。参考:民法第627条/厚生労働省 都道府県労働局 退職Q&A(2026年5月閲覧)。

民法627条の予告期間ルールと就業規則の関係

退職予告期間の法的根拠は民法第627条第1項です。期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員)の場合、退職を申し入れた日から2週間で雇用契約は終了します。
民法第627条第1項(要旨)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
出典:e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)第627条」(2026年5月時点)
就業規則に「1か月前」「3か月前」とある場合
裁判例の方向性 就業規則の規定があっても、民法627条が優先されると解する裁判例の方向性が一般的とされています(厚労省 都道府県労働局の退職Q&A、各種弁護士解説で紹介の考え方/2026年5月時点)。
編集部メモ:規則上の期間を超えても、法的には2週間で退職は成立するというのが裁判例の傾向。ただし円満退職を望むなら就業規則の予告期間を尊重するのが実務上推奨。
有期契約・年俸制・完全月給制の例外
注意点 期間の定めのある雇用契約(有期契約)は民法第628条が適用され、原則として契約期間中の途中退職には「やむを得ない事由」が必要です。
編集部メモ:民法627条第2項・第3項(6か月以上の期間で報酬を定めた場合の3か月前申入れ等)は、2020年4月の民法改正以降、労働者からの退職申入れには適用されず、使用者からの解約申入れに適用と解されるのが通説。自分の契約形態を就業規則・労働条件通知書で必ず確認を。
編集部のひとこと
考え方の整理 「2週間で辞められる権利」と「2週間で辞めるのが妥当か」は別問題です。
編集部メモ:本記事は円満退職を前提にしていますので、原則として1〜3か月前の申し出を推奨しています。法的権利は知っておくと、手続きを進める際の安心材料になります。

退職を伝える順序(直属の上司 → 人事)

退職を伝える順序は、円満退職の重要なポイントの一つです。伝える相手・順番が整っていれば、その後の調整は驚くほどスムーズに進みます。
1 直属の上司に1on1で口頭で伝える(会議室を予約/時間は30分以上確保)
2 上司と退職日・引き継ぎ範囲をすり合わせ(有給消化を含めた最終出社日を仮決め)
3 上司を通じて、または上司の了解のもと人事へ(正式な退職届の提出はこのタイミング)
4 同僚・取引先への共有は会社の指示に従う(独断で先に話さない)
順序を守ることで、上司も会社内で動きやすくなり、引き継ぎ・有給消化の調整も進めやすくなります。同僚や他部署の知人に先に話す/いきなり人事や役員に直接持ち込むのは避けましょう。

切り出し方の具体スクリプトとタイミング

「いつ・どこで・なんて切り出すか」は、考えるほど緊張する部分です。テンプレ通りで十分なので、暗記する必要はありません。
タイミングの目安(退職予定日からの逆算)
  1. 1 3か月前:上司への意向打診(口頭・1on1)
  2. 2 2か月前:退職日・引き継ぎ範囲・有給消化日の合意
  3. 3 1〜2か月前:退職届を正式提出/引き継ぎ資料作成開始
  4. 4 1か月前:後任への業務引き継ぎ開始
  5. 5 2週間前:取引先・関係部署への共有(会社の指示に従う)
  6. 6 最終出社日:備品返却・最終挨拶/その後に有給消化期間へ
1on1での切り出し方スクリプト
あなた 「お忙しいところ恐れ入ります。今後のキャリアについてお話ししたいことがあり、30分ほどお時間をいただけないでしょうか。」
上司 「うん、何かあった?」
あなた 「実は、かねてから自分のキャリアの方向性を考えてきた結果、◯月末をもって退職させていただきたいと考えています。今日はそのご相談と、引き継ぎについてご相談できればと思っています。」
上司 「そうか、考えた上での結論ということだね。」
あなた 「はい。これまでご指導いただいたことに本当に感謝しています。残りの期間で引き継ぎを最後までしっかり進めたいと思いますので、後任の方や引き継ぎ範囲について、改めてご相談させてください。」
編集部のひとこと:「退職理由」は深掘りされたら「自分のキャリアの方向性」「家庭の事情」などの大枠で十分です。具体的な転職先や年収条件まで話す義務はありません。会社批判・同僚への不満は伝えないほうが、その後の手続きがスムーズに進みます。

退職届の書式・テンプレート

退職届はA4の白い無地用紙に縦書き、黒のボールペンか万年筆で手書きするのが伝統的なスタイルです。パソコン作成も多くの会社で受け入れられていますが、手書きを選ぶ方も多くいます。
1 表題:「退職届」(中央上)
2 書き出し:「私儀(わたくしぎ)」
3 退職理由:「一身上の都合により」
4 退職日:「令和◯年◯月◯日をもって退職いたします」
5 提出日:書類を提出する日付
6 所属・氏名:所属部署と氏名(押印を求める会社も)
7 宛名:会社名と代表者名(社長宛が一般的)
退職届の退職理由は「一身上の都合」で統一するのが慣行です。具体的な転職先や事情を書く必要はありません。封筒は白の無地(長形3号または4号)、表に「退職届」、裏に所属と氏名を記載します。
そのまま使える退職届テンプレート(縦書き想定)
                       退 職 届

 私儀

 このたび、一身上の都合により、来る
令和◯年◯月◯日をもって退職いたします。

              令和◯年◯月◯日

              ◯◯部 ◯◯課
              氏名 ◯◯ ◯◯ ㊞

◯◯◯◯株式会社
代表取締役 ◯◯ ◯◯ 殿
押印不要の会社も増えていますが、念のため認印を用意しておくと安心です。シャチハタは避けてください。

退職と並行して、自分の市場価値を整理する

退職届の準備と並行して「次のキャリアの方向性」を整理しておくと、退職交渉での迷いが減ります。3分の無料診断と関連ガイドで判断材料を増やしましょう。

引き継ぎ計画の立て方

円満退職の鍵は引き継ぎの質です。退職日が決まった瞬間から、後任が困らない状態を作ることを意識しましょう。
引き継ぎ資料に含めるべき項目
  1. 1 業務一覧表:定例・非定例・年次イベントまで網羅した業務リスト
  2. 2 業務手順書:各業務の手順・使用システム・ログイン情報の保管場所
  3. 3 関係者連絡先:取引先・社内関係部署の窓口担当と連絡経路
  4. 4 進行中案件の状況:未完了タスク、合意済み事項、保留中の判断事項
  5. 5 注意点メモ:過去のトラブル事例と対応の勘所
  6. 6 カレンダー:引き継ぎ完了日までの日次・週次の進行表
1 第1週:業務一覧表の作成と後任への共有/資料の棚卸し
2 第2週:定例業務の手順書作成/後任に同席してもらいつつ実演
3 第3週:後任が主担当として実施し、自分はサポート役に回る
4 第4週:取引先への引き継ぎ挨拶/積み残しの整理/資料の最終版を共有
引き継ぎ資料は「自分がいなくても回る状態」がゴールです。「自分しか分からない情報」をなくすイメージで作ると、後任にも会社にも喜ばれ、自分の最終評価にも好影響が出ます。

有給消化・退職金・失業給付の手続き

退職前後にやることは多岐にわたります。ここでは編集部が、有給消化・退職金・失業給付・健康保険の4テーマを順に整理します。
① 有給休暇の消化
法的根拠 労働基準法第39条により、年次有給休暇を取得する権利は労働者に認められています。退職日が確定すれば、残日数を退職日までに消化することは法的に可能です。
編集部メモ:例:退職日 7月31日/有給残20日/引き継ぎ完了予定 6月30日 → 7月1日〜7月31日(営業日20日)を有給消化期間に充当。最終出社日は6月30日。参考:労働基準法第39条/厚労省 年次有給休暇の解説(2026年5月時点)。
② 退職金の確認
確認ポイント 退職金は法律上の支給義務はなく、就業規則・退職金規程に支給条件と計算方法が定められている場合に支給されます。
編集部メモ:退職を伝える前に、就業規則を確認して支給対象期間・自己都合と会社都合の差・支払時期を把握しておくと、生活設計に役立ちます。
③ 失業給付(雇用保険・基本手当)
最新ルール 2026年5月時点では、2025年4月施行の雇用保険法改正により自己都合退職の給付制限期間が変更。離職日が2025年4月1日以降の場合、給付制限期間は原則2か月から原則1か月に短縮されました。
編集部メモ:主な流れ。①離職票(被保険者離職票-1, -2)を受け取る/②住所地のハローワークで求職申込みと受給資格決定の手続き/③受給資格決定日から7日間の待期期間満了/④自己都合の場合、原則1か月の給付制限/⑤給付制限経過後に基本手当の支給開始(4週ごとに失業認定)。5年以内に3回以上自己都合退職した場合は給付制限3か月など例外あり。教育訓練の受講により給付制限が解除される制度も2025年4月から導入。出典:厚労省「雇用保険法の改正に関する案内(令和7年4月施行)」/ハローワーク 雇用保険受給者のしおり(2026年5月時点)。
④ 健康保険・年金の切り替え
3つの選択肢 退職後の健康保険は「任意継続(最長2年・資格喪失日から20日以内に申請)」「国民健康保険」「家族の扶養に入る」のいずれかから選びます。
編集部メモ:年金は厚生年金から国民年金への切り替えが必要。住民税は退職月により普通徴収(自分で納付)または一括徴収(最終給与から差引)の扱いが変わるため、給与担当者に確認を。次の会社の入社が決まっていれば、新しい会社で手続きが進みます(健康保険資格喪失証明書を退職時に受領)。

引き留めに遭ったときの対処

退職を伝えると、上司や人事から引き留めの提案を受けることがあります。代表的なパターンと、編集部が整理したスタンスを紹介します。
パターン1:条件改善の提案(昇給・昇格・異動)
よくある提案 「来期から昇給・昇格を予定している」「希望部署への異動を検討する」など
編集部メモ:提案そのものは前向きに聞きつつ、「いつまでに・誰の決裁で・どの程度の改善か」を文書ベースで確認するのがおすすめです。口頭の約束だけで撤回すると、実現しなかった場合に対応が難しくなります。
パターン2:情に訴える引き留め
よくある言葉 「今辞められると困る」「あと半年だけでも」「後任が育つまで」など
編集部メモ:引き継ぎ期間の延長は、退職日の再設定として現実的な落としどころになり得ます。一方で「無期限の延長」「あなただけの特例」は、退職そのものの撤回を狙う流れになりやすいので、退職日の合意は必ず明文化を。
パターン3:法的・実務的に難しい主張
よくある主張 「就業規則で3か月前と決まっているから辞められない」「損害賠償を請求する」など
編集部メモ:民法627条が優先されるとする裁判例の方向性が一般的で、損害賠償についても通常の自己都合退職で認められるケースは限定的とされています。引き留めが強硬な場合は、社会保険労務士・弁護士・労働局の総合労働相談コーナーなどの第三者に相談するのが安全です。

円満退職を実現するチェックリスト

以下の項目を最終出社日までにすべて満たせれば、円満退職が実現します。
CHECKLIST 退職前にやることチェックリスト
就業規則で予告期間・退職金規程・退職届の様式を確認した
退職予定日を3か月前に決め、逆算スケジュールを作った
直属の上司に1on1で口頭で伝えた
退職日・引き継ぎ範囲・有給消化日を上司と合意した
退職届を正式に提出した
引き継ぎ資料(業務一覧・手順書・関係者連絡先)を作成した
後任に実演しながらの引き継ぎを行った
取引先・関係部署への引き継ぎ挨拶を済ませた
貸与品(PC・社員証・名刺・制服等)の返却準備をした
離職票・源泉徴収票・雇用保険被保険者証の受け取り方法を確認した
健康保険・年金の切り替え方針を決めた
次の会社が決まっていない場合、ハローワーク訪問の予定を立てた

よくある質問

Q. 退職届と退職願はどちらを出せばいいですか?
A.「退職願」は労働契約の合意解約の申し込み(会社の承諾があるまで撤回可)、「退職届」は労働契約解約の一方的な意思表示(会社到達後は原則撤回不可)です。まずは退職願(または口頭)で意向を伝え、合意が得られた段階で退職届を提出するのが2026年5月時点で一般的な順序です。
Q. 退職は何日前までに伝える必要がありますか?
A.2026年5月時点の民法627条第1項では、期間の定めのない雇用契約は解約申入れの日から2週間で終了すると定められています。就業規則に「1か月前」「3か月前」と書かれていても、民法627条が優先されるとする裁判例の方向性が一般的です。ただし円満退職を目指す場合は、1〜3か月前に伝えるのが実務上推奨されます。
Q. 退職を伝える順番はどうすればよいですか?
A.原則として直属の上司に最初に伝え、その後に上司を通じて、もしくは上司の了解のもと人事部・経営層に伝えるのが基本です。同僚や他部署に先に話すと、上司の心証や調整に影響することがあるので、順序を守るのが円満退職の基本です。
Q. 退職届はいつ提出すればよいですか?
A.上司との面談で退職の合意がおおむね得られ、退職日が確定した段階で書面の退職届を提出します。一般的なスケジュールは、3か月前に意向打診、2か月前に退職日合意、1〜2か月前に退職届提出、最終出社日までに引き継ぎ完了、です。
Q. 有給休暇の残日数はすべて消化できますか?
A.労働基準法第39条により、年次有給休暇を取得する権利は労働者に認められています。退職日が確定すれば、残日数を退職日までに消化することは法的に可能です。引き継ぎとの兼ね合いがあるため、退職日から逆算して取得計画を立て、上司と早めにすり合わせるのが円満退職のコツです。
Q. 失業給付(基本手当)はいつから受け取れますか?
A.2025年4月施行の雇用保険法改正により、自己都合退職の給付制限期間は原則2か月から1か月に短縮されました(離職日が2025年4月1日以降の場合)。受給資格決定日から7日間の待期期間満了後、原則1か月の給付制限期間を経て基本手当の支給が開始されます。なお、5年以内に3回以上自己都合退職した場合は給付制限が3か月となるなど例外もあるため、最終的な条件は管轄ハローワークで確認してください。

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編集方針・調査方法

編集者
編集部・佐藤(人材業界10年・転職経験3回)
監修方針
社会保険労務士・弁護士の公開解説および官公庁の一次情報を相互照合
主な参照法令
民法第627条/民法第628条/労働基準法第39条/雇用保険法(2025年4月施行改正)
主な参照資料
e-Gov法令検索/厚生労働省「雇用保険法の改正に関する案内(令和7年4月施行)」/厚生労働省 都道府県労働局 退職に関するQ&A/ハローワーク 雇用保険受給者のしおり(いずれも2026年5月閲覧)
注意事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案の法的助言を行うものではありません。具体的な手続きはお勤め先の就業規則、管轄のハローワーク、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。
更新履歴
2026-05-08 公開/2026-05-24 デザイン刷新・引き留め対処セクション追加